コラム ~診療時間外ですが~ 

僕のお気に入り ~ギター編~ (4) 最終回

副院長 岡本康久

 習い始めた頃は人前で弾けるようになるとは思ってもいませんでした。N先生の優しい励ましを受けながらのレッスンを続け9年になります。7年目の還暦の年に思い切ってギターを新調しようとN先生に相談すると、スペインの製作家アルノルド・ガルシアを紹介してくれました。彼にオーダーして一年半待ってようやく手にしたギターが今一番のお気に入りです。サウンドホール周囲の斬新なデザインが素敵で、そこから溢れる深い音の響きは僕の拙い技量でも気持ちを和ませてくれます。このギターのおかげで昨年の発表会では「11月のある日」、今年は「枯葉」を無事に弾くことができました。次は来日コンサートに行って感銘を受けたアンドリュー・ヨークの「HOME」に挑戦します。

 病院の忘年会、クリスマス会、わいわい回生などで演奏する機会をいただいています。人前で恥をかくことが次のステップへのモチベーションであり、上達の近道と日夜練習していますので、遅々なる前進を見守ってください。



 

2019年10月22日

僕のお気に入り ~ギター編~ (3)

副院長 岡本康久

 クラシックギターを通じてこれまで全く知らなかった世界を見せてくれました。2011年夏、N先生が指揮する岡山ギター合奏団のスペイン旅行に同行しました。1週間かけてスペイン各地をバスで巡り、観光しながら演奏会を行うのですが、僕はまだまだ合奏団に加われるレベルではなく、写真・ビデオ担当です。中世に建てられた石造りの荘厳なコミーリャス教会、シグエンサでは12世紀のアラブ要塞を改築したパラドールの「戴冠の間」、そしてブイトラゴではローマのコロッセオのような野外劇場での演奏会に現地の人が大勢集まり拍手喝采してくれる光景は感動的でした。
 この旅行を終えると直ぐに合奏団に入れてもらい練習に励みました。2014年に再びスペイン旅行があり、最後列の端っこではありますが舞台に立つことができました。




2019年09月24日

僕のお気に入り ~ギター編~ (2)

副院長 岡本康久

 僕がギターを始めたのは2010年春、通勤途中に何気なく手にしたギター教室の勧誘ビラがきっかけでした。中学生の頃は当時流行ったフォークギターを親にねだったことがありましたが、狭いアパート住まいでは到底無理でいつの間にか忘れて過ごしてきました。20代後半から始めたゴルフには才能がないことを悟り、40代からのランニングはだんだんと記録が縮まらなくなり、歳を取っても続けられる新しい趣味をと考えていた時でした。恐る恐る駅前の古びたビルの3階にある教室の扉を開けると、哀愁をおびたギターの音色が流れてきました。自分と同世代の男性の演奏に聞き惚れ、彼の優しい物腰に誘われ、すぐに入会を申し込みましたが、彼(N先生)が僕のような初心者には勿体ない有名なギタリストだと知ったのは後になってからです。

 

 月3回のレッスンが始まると、53歳からの手習いは自己嫌悪と挫折の連続でした。中学の音楽の授業以来見る楽譜は全く理解できず、中年の節くれだった指は脳の指示通りには動いてくれません。生来の音感、リズム感の無さも痛感しました。ギター上達の一番の方法は緊張しながら人前で弾くことというN先生の考えで、発表会には半ば強制的に参加です。その日が近づくと眠りが浅くなり落ち着かない気分になります。舞台に立つと途中で頭が真っ白になり手が止まってしまったり、当日に病院からの呼び出しがあると天の助けとばかりにドタキャンしたこともあります。しかし発表会が終わった後の解放感は、出来の如何に関わらず快感でした。


…次回へ続く

2019年08月17日

僕のお気に入り ~ギター編~ (1)

副院長 岡本康久

5月最後の日曜日の昼下がり、気温はぐんぐん上昇し真夏を思わせる陽気でした。岡山の西川沿いの広場ではハワイアン・フェスティバルが開かれて、簡易ステージ上でフラダンスが披露され、屋台が並び、大勢の親子や若者たちで賑わっていました。広場の傍にある西川アイプラザ1階の図書館に入ると、涼みながら読書に耽る人で静寂が広がっています。その5階にある200人収容の多目的ホールの静かな舞台袖で、僕はギターを抱え手に汗を滲ませながら出番を待っていました。毎年この時期に行われるギター教室の発表会の日です。

 

 

…次回をお楽しみに!

2019年07月20日